転職における選考で明確化されていない項目が幾つかあります。その中でもよく話題になるのが、年齢、【学歴】、社歴、などです。選考での『本音と建前』を踏まえた上で、現場目線での【学歴】に関する情報をお伝えします。

学歴の見方

転職の書類応募書類で必ず必要になるのが、『履歴書』と『職務経歴書』です。【学歴】は『履歴書』に記載されます。卒業年数、学校名。高校の場合は、普通科か専門科か。高専、専門学校はどういう選考か。大学へ進学している場合は、浪人のあるなし、留年のあるなし、大学名。一般的に『高学歴』という基準で見るのか、『専門性』を重視するのか。

高卒だからとネガティブになっている方へ

高卒=低学歴として評価が低いと考える、ご自身が高卒で転職活動をしている方が多いようです。しかし、実際はそんなに単純なものではありません。例えば、『何故、その後進学しなかったのか?』、事情は人それぞれでしょう。『費用の問題』、『早く働きたかったから』、『勉強が嫌いだったから』、『そういう環境だったから』。選考する企業が知りたいのは、実際にはこういう『何故か』という内容であったりします。それがその人の考え方や生き方を表しています。

高専卒と専門卒の方へ

最近、選考企業からの評価が特に上がっています。特に、技術職に関しては、座学だけでなく実作業経験をしている事が好まれるようです。実際、学校で学んだ座学を、就職後の実務でそのまま活かせた、という話はなかなか聞けません。しかし、実作業はそのまま活かせる事が多いようです。その為、ちょっとした作業の場面で、学校での経験が活かせるのが、高専・専門での実作業経験なのです。

大卒の方へ

大卒の方が気にするのは、学校名、浪人・留年、専攻学科などでしょう。学校名を気にするかどうかは、正直にいって企業によります。この話は後程改めて書かせて頂きます。浪人・留年が影響するかどうかは、年齢が若ければ若いほど影響する可能が上がり、年齢を重ねるとどんどん関係なくなっていきます。専攻学科に関しては、気にする企業が多いと感じます。『専攻学科=希望職種』となる場合は一番スムーズに話が進むでしょう。しかし、『専攻学科≠希望職種』の場合には、企業側の選考でチェックが入るかもしれません。しかし、これも実務経験があればそれほど影響しないでしょう。

大学院卒の方へ

当然、大学卒よりも学歴的には上と位置づけられますが、その分期待値が上がります。大卒以上に、『専攻内容=希望職種』かどうかが重要視される場合が多いです。また、大学院卒を優遇する企業はもちろんありますが、それ以外は新卒入社の時よりも優位性が低くなる場合もあります。例えば、『年齢の割に経験年数が短い』、『院卒の給与基準評価はしてもらえない(大卒と変わらない)』という事が実際にあるようです。

学歴を重視する企業かどうかの見分け方

実際のところは、企業の選考基準に関して、どう考え、どう見分ければ良いのか、という事が気になるのではないでしょうか。冒頭に触れたように、その明確な答えはないのですが、かなり有力な傾向はあります。

高学歴が好きな企業とは?

大きく分けて、二つあると考えられます。

大企業

企業規模が大きい程、知名度が高いほど、上場区分が上なほど、高学歴が好きな企業が多い傾向があります。見極める基準としては、新卒での採用基準でしょう。実際に、採用実績を出している企業であれば、どういう学校出身の人が採用されているかが分かります。例えば、『大卒以上』を採用基準にしている企業であれば、中途採用でも同じような傾向が予想されます。偏差値の高い大学名ばかりであれば、中途採用でも、偏差値の高い大学卒業者が好まれる傾向にあります。また、大学名の見方は、偏差値だけではありません。『その分野に強い学校かどうか』を気にする企業も少なくありません。

ベンチャー企業の一部

ベンチャー企業にも色々ありますが、HPに出てくる経営者・社員情報が高学歴者ばかり、大企業出身者によるベンチャー、大学発ベンチャー、アカデミック領域に関わるベンチャー、等は学歴を気にする企業が多いようです。この傾向は、少数精鋭の中で、『自分達と近い環境の出身者』を好んでいるように思えます。

高卒、高専卒、専門卒を好む企業

こちらに関しては、前項の逆パターンで、企業規模が小さくなるにつれて、好まれる傾向があります。

中小企業

ものづくり企業の中でも、中小規模企業は、一人当たりの業務の幅が多岐にわたります。設計者でも組立てや加工、評価まで行ったりする場合が多いです。その場合、工業高校や高専で勉強した人の方が、実作業(旋盤を使った加工、塗装、組立て等)を授業の中で行っている場合が多く、大学では行わない場合も少なくありません。その為、『頭でっかちな大卒よりも、現場作業が分かる高卒・高専卒が良い』というのはよく聞く話です。

現場主義企業

現場でのものづくりを重視する企業や、職人気質の方が多い企業をイメージしてみてください。現場に近い仕事が多いほど、『経験が一番』という考えが強いです。そうすると、早いうちから実務を経験している人を高く評価する傾向があります。例えば、浪人・留年をせずに大学を卒業すると、新卒で22歳です。この時点で、実務未経験です。しかし、高卒であれば同じ年齢で実務経験4年、高専卒ですと実務経験3年です。逆に、大学院卒ですとまだ学生が続きます。『一人前になるのに10年かかる』という技術も少なくありませんから、経験は宝です。

職種による見方の違い

同じ企業でも、職種によって学歴等の見方が違う場合があります。

研究開発職

恐らく、ものづくり企業で最も学歴や専門性を重視する職種でしょう。本当に専門性の高い企業・職種になると、学科・選考も限定されたり、大学院での研究内容も関係します。それは、より大学等での研究に近いからでしょう。仕事や技術に対する姿勢も、『研究・学者』のようなタイプの人が好まれる傾向があります。

設計開発職

前項よりは実務よりになりますが、理論を重視する開発要素が強い企業では、最低限の学術的知識を求められます。但し、中途採用の場合には、前職での経験もあります。ですので、『必要な知識>学歴』です。知識を身に着け、設計開発の実務経験があれば評価されます。

生産技術・保全職

この職種では、資格(電気工事士など)が必要になる事も多く、高専時代にその資格を取得し、活躍している方が多いようです。また、上位資格取得には実務経験年数も必要になりますし、現場経験が重視されますので、あまり学歴が関係ない傾向があるようです。

製造関連職(組立、加工、塗装など)

こちらは、まさに職人の世界です。経験とセンスが最重要になります。もちろん、専門知識なども必要です。知識を得た上でどれだけ経験を積んできたかを選考では確認されますし、実務試験を行う企業も多くあります。

年齢と経験年数による違い

学歴云々は、実は年齢を重ね、経験を積んでいくと、どんどん関係なくなっていきます。何故ならば、それに代わる、技術と経験が身についていき、中途採用ではそれが重要視されるからです。つまり、若い頃は学歴の他に判断基準が少ないというのもありますね。

学歴等に関するまとめ

転職の世界でも、まだまだ『学歴社会』というのは無いとは言えません。しかし、学歴に関係なく、実力主義、実務経験主義が強くなってきているのは確実に感じます。世の中がもっと学歴や肩書に依存しないようになっていけば良いと思います。

しかし、学ぶ事はいつになっても大事な事です。大学4年間真剣に学んだ人と勝負しようと思った場合、自身でそれに見合う学びをするというのは並大抵の努力ではないと思います。しかし、その努力が、より臨むキャリアへのチャンスとなります。学歴に関係なく、学びが足りないと感じた人は、少しずつでも何かを始めてみましょう。

また、上記に関しては、冒頭にも触れた通り、明確化はされておらず、あくまでも傾向ですので、参考までにしてください。イレギュラーな企業もありますので。