今回は、転職活動の際に必須である応募書類についてのお話です。

弊社に転職相談にいらっしゃる技術者の多くが、ご自身で作成した応募書類について、「本当にこれで良いのだろうか。」と思っているようでしたので、少しでも参考になれば幸いです。

ネット上には応募書類の書き方について多くの記事がありますが、ここでお伝えすることは下記分野の技術者、エンジニアの方に限定したお話です。

・機械設計技術者
・電気電子回路設計技術者(デジタル、アナログ)
・電気制御設計技術者(PLC制御)
・組み込みソフト開発技術者
・半導体(LSI/FPGA等)の設計技術者
・生産技術者、製造技術者

応募書類にはどのような種類があるか

スーツの男性が左人差し指でバインダーを指さしているイラスト

中途採用/キャリア採用であれば、応募書類は一般的に「履歴書」「職務経歴書」の2種類です。

自己PRや志望動機については、応募先企業によって別紙にしたりする方法もありますが、応募先企業の指定がなければ、職務経歴書に記載する形で良いです。

また、弊社で転職支援させていただく技術者、エンジニアの方の場合は、携わった装置や設備、製品等の紹介資料を別紙で作成することが多いです。

弊社の転職支援では、応募書類は下記種類を一緒に作成しています。

  • 履歴書
  • 職務経歴書
  • 携わった製品の資料(これは職務経歴書に含めてしまうことも多いです。)
  • 推薦書(これは私が作成するものです。内容確認をお願いしています。)

    応募書類作成にあたってのポイントは大きく分けて3つ

    テクニカル的なことよりも何よりも、大きく分けて下記3点に注意して作成することが、大切です。

    「あたりまえでしょ!」と言う方もいらっしゃるかと思いますが、意外と多くの方が出来ていない部分ですので、再確認してみて下さい。

    Point1 各書類の役割を明確にする

    履歴書の職歴欄に担当職務や部署名等を記載される方もいらっしゃいますが(丁寧な方に多いです)、履歴書は極端な話、下記流れが分かれば良いです。

    1. どのような学校へ行き何を勉強し、
    2. 何という会社に入り、
    3. 現在に至っているか

    という大きな流れが分かれば良いので、担当職務など業務詳細は職務経歴書に書き、シンプルな形で問題ありません。各書類で内容が重複しすぎない様に役割を明確に分けることが大切です。

    【履歴書】

    学校入学~卒業、会社入社~退社(あるいは現在)の流れと、現在の住所や生年月日、保有資格、扶養家族の有無、趣味を記載したシンプルなものが良い。

    【職務経歴書】

    • 今までの職務経歴のサマリー(2~5行程度で)
    • 経験した職務詳細(担当した製品名、それはどのようなものかの説明、その製品に対して自分が担当した業務)
    • ご自身のスキルまとめ(箇条書き)
    • 保有資格
    • 自己PR

    Point2 年月を間違えない

    これが意外と多いミスです。

    学校の入学、卒業の年月、会社への入社、退社の年月、経験業務ごとの期間。

    これらを「うっかり」や「勘違い」等で間違えている応募書類をかなりの数、目にします。小さなミスかもしれませんが、大きな問題です。

    応募書類は大事な書類です。作成したら、何度も見直しましょう。

    また、年については元号か西暦のどちらかに統一して下さい。西暦のほうが見やすいので、西暦での記載をすすめていますが、元号でも問題はありません。どちらかに統一するということが大切です。

    Point3 体裁を整え几帳面にきれいに作成する

    大切な書類ですので、とにかくきれいにまとめましょう。

    下記のようなことがあると、「やる気がないのでは?」「きちんと仕事が出来ないのでは?」と思われてしまう可能性があります。

    ・フォントが揃っていない。
    ・文字の大きさや、太字、下線、半角や全角など、一貫したルールがない。
    ・インデントが揃っていない。
    ・改ページが変な所で切れている。
    ・誤字、脱字がある。

    上記のような書類は結構多いです。何度も見直して、応募先企業の方が見やすい書類を作成しましょう。

    手書きでなくとも良いの?

    手書きの応募書類

    私が初めて転職活動をした2002年頃は、履歴書は手書き、職務経歴書はパソコンで作成して、名前部分のみ手書きという形でしたが、今はほとんどの企業が手書きでなくとも大丈夫です。また、書類選考の段階では、履歴書の証明写真もデータ(Jpeg)で大丈夫です。

    ※ただし、応募先の企業によって、上記が当てはまらない場合もあります。転職エージェントを通した紹介の場合は、転職エージェントの指示に従ってください。また、ご自分で直接企業へ応募する際は、しっかりと確認して、慎重に対応しましょう。

    履歴書の書き方

    では、まずは履歴書の書き方について説明いたします。

    シンプルで良い

    学歴の欄に小学校入学から書いたり、職歴欄に部署名まで書いたり、自己PRや志望動機を狭いスペースに小さい文字で書いたり、本人希望欄にぎっしりとご自身の希望を書いたり・・・と沢山書きすぎる必要はありません。詳細は職務経歴書に記載するので、履歴書はシンプルに作成しましょう。

    大まかに言うと、どこの学校を出て、どの会社へ行き、どのような資格を持っていて、どんな趣味やスポーツをやっているか、扶養家族はいるかが分かれば良いです。

    体裁を整える

    英数字が半角と全角の両方が存在していたり、文字の大きさやフォントに統一感がなかったり、左寄せ、中揃え、右寄せ等がバラバラだったりすると、ドキュメントをしっかりと作成できない人と思われてしまう可能性があります。また、技術者として、雑なものづくりをするのではないかと思われる可能性もあります。

    体裁はしっかりと整えましょう。

    具体的な書き方

    • 年は西暦で統一します。
    • 押印欄は、Wordデータの段階(書類選考)ではそのままで良いです。面接当日はプリントアウトして、押印したものを持参します。
    • 年齢は、記載年月日時点での年齢となりますので、間違えないように気を付けましょう。
    • 写真は、スピード写真ではなく、しっかりと写真屋さんで撮ってもらいましょう。書類選考段階では、Word等のデータに、JPEGデータを貼り付けてください。面接当日はプリントアウトした履歴書に写真屋さんで撮った証明写真を糊付けして持参します。
    • 学歴欄は、中学校卒業から書くと丁寧です。また、大学は学部、学科名もしっかりと正式名称で記載しましょう。
    • 職歴欄は、正式な会社名と入退社のみの記載し、最後の行は「現在に至る」。そしてその次の行に右寄せで「以上」と記載して下さい。
    • 免許、資格欄は、国家資格だけでなく、認定資格やTOEICのスコア等も記載して下さい。
    • 趣味、特技、スポーツは面接官と話が合う可能性もありますし、PRにつなげることもできます。フォーマルではない部分を見せることも重要です。
    • 本人希望記入欄は、私たちキャリア・コンサルタントが企業との間に入って調整しますので、書類選考の段階では空欄でお願いします。どうしても記載しておきたいという場合は、それでも問題はありません。

    技術者の履歴書の書き方見本(1ページ目)技術者の履歴書の書き方見本(2ページ目)履歴書については以上となります。

    職務経歴書の書き方

    職務経歴書は職種毎に異なります。職種別にリンクを貼りましたので、ご自身の職種のページを参考にして下さい。

    機械設計者向け

    機械設計職の方はこちらの記事を参考にして下さい。

    電気電子回路設計者向け

    回路設計職(デジタル、アナログ)の方はこちらの記事を参考にして下さい。

    電気制御(PLC制御)設計者向け

    産業機械の電気制御(PLC制御)設計を行っている方はこちらの記事を参考にして下さい。

    組み込みソフト開発技術者向け

    組み込みソフトや制御ソフト設計職の方はこちらの記事を参考にして下さい。

    LSI/FPGA等の半導体設計者向け

    LSIやFPGA、ASICなどのIC設計(ロジック、アナログ)を行っている方はこちらの記事を参考にして下さい。

    生産技術者向け

    生産設備、生産ラインの生産技術開発職の方はこちらの記事を参考にして下さい。

    応募書類作成プロセスは自分にとっての良い企業が見つかるきっかけとなる(これ重要です)

    応募書類を作成するには、過去のご自身の経験を振り返る必要があります。実は応募書類を作成することよりも、その「振り返り」というプロセスが重要になります。書類選考通過させることを第一の目的にしないことが、転職成功への近道です。

    ご自身の経験をしっかりと振り返ることで、どのような企業へ行きたいのか、どのような働き方がしたいのかが明確になり、それがご自身にとっての良い企業との出会いにつながります。