内定をいただいた方、また現在選考中の方も、あなたがどのような条件で就業することになるのか理解されていますか?

「労働条件をわかったうえで応募しているので問題ない」と思われる方もいるかもしれません。たしかに、何もわからない求人に応募する人はまずいませんよね。

応募を決める際、労働条件を確認するために見るのは「求人票」ではないでしょうか。求人票は、職業安定法に基づき明示すべき労働条件の項目が決められています。これをもとに希望する求人へ応募し、選考が進められていくのが一般的です。

しかし、求人票では確定していない条件もあります。たとえば、複数の事業所で同一職種を募集している、月給の金額に幅があり経験等を考慮して個別に金額が決定する、といったことです。したがって求人票は対象者が不特定なものであり、あなたに対して「確定した労働条件」とはならないわけです。

内定を通知された際には、「どのような労働条件を前提に」採用されたのかを確認する必要があります。この、「あなたに限定して渡される」ものが「労働条件明示書」なのです。

労働条件明示書の交付は、労働基準法によって使用者(企業)に義務付けられています。書面交付により明示しなければならないものなので、もし受け取っていない場合は企業へ交付を依頼しましょう。

書面交付で明示しなければならない事項は?

労働条件明示書の書面で存在していれば内容は使用者(企業)にお任せで良い、というものではありません。「必ず書面で明示しなければならない事項」と、「口頭の明示でも良い事項」があります。

ここでは、「必ず書面で明示しなければならない事項」について説明していきます。

義務付けられている明示事項(1)契約期間

労働契約について期間の有無です。正社員採用の場合は無期契約(期間の定めがない)であることが一般的です。有期契約である場合は、更新の有無や更新時の条件なども明示する必要がありますから、記載があるか確認しましょう。

義務付けられている明示事項(2)就業場所

あなたが勤務する場所です。「〇〇事業部」といった記載や、住所が記載されている場合もあります。

義務付けられている明示事項(3)業務内容

あなたが従事する業務の内容です。

義務付けられている明示事項(4)労働時間、超過勤務に関する事項

あなたが勤務する始業時間、終業時間、休憩時間、時間外労働や交替制勤務の有無などが確認できます。

義務付けられている明示事項(5)賃金に関する事項

あなたに支払われる賃金(月給、諸手当)の金額、その計算方法、支払いの方法などが確認できます。

義務付けられている明示事項(6)退職に関する事項

定年退職、自己都合退職、解雇の場合のその事由などが確認できます。ただし、退職手当が発生する場合の金額決定方法や支払い方法については「口頭明示でも良い事項」とされていますので記載されていないことがあります。

【参考例】労働条件明示書

応募の際に承知していた内容と異なる事項があったら

応募の際に確認した情報(転職サイトに掲載されている求人情報やハローワーク等で入手した求人票など)と、労働条件明示書の確定事項では異なる場合もあり得ます。選考の過程においてあなたの経験や適性をふまえての変更であったり、社内規程による変更であったり、状況はさまざまです。

変更内容については、面接の場面などで双方が話し合い合意した事項であることが多いのですが、なかには事前の話し合いなく異なる条件で勤務することになったというご相談を受けることもあります。労働条件明示書の内容を確認せず、応募時にご自分が承知していた条件で勤務できるものと思い込んで内定承諾し、入社後のトラブルとなる方は意外と多いです。

労働条件明示書の内容は「確定されたあなたの勤務条件」ですから、認識と異なる事項がある場合は内定承諾する前に企業へ問い合わせましょう。

内定通知、雇用契約と労働条件明示はちがうもの

内定をいただいたら、メールまたは郵送で受け取ったものを確認しましょう。多くの場合、まずは内定通知を受け取られることと思います。内定通知書はその名のとおり「内定をお知らせする」ものです。また、雇用(労働)契約書を受け取ることもあるかと思いますが、これは「労働に対して報酬が支払われる契約」を取り交わすものです。

前述いたしましたが、労働条件明示書は使用者(企業)に交付義務があると労働基準法で定められているものであり、内定通知や雇用(労働)契約とはちがうものです。

企業によっては、内定通知や雇用(労働)契約と労働条件明示書が一体化したものを用意されていることもあります。そのような場合は、書面のタイトルが労働条件明示書ではないことあると思いますが、義務付けられている明示事項が記載された書面であれば問題はありませんので、必ず受け取るようにしましょう。