ご相談にいらした方の話をお聞きしていると、「○○会社に出向していました」や「出向先が変わってからは製品開発に携わりました」などのように、『出向』というコトバを耳にすること増えてきたように思います。

最近、出向が増加しているのかな?と思いましたが、どうやらそうではなくて本来の出向とは異なる意味で使われているようなのです。

『出向』とは?

自身が在籍している企業の命令により、別企業で就労することです。

そう言われると、要は派遣就労だと思いがちです。私がよくお聞きする話も、派遣就労のことを出向と表現されているものでした。出向と派遣は同じなのでしょうか?

出向と派遣は違います

出向の場合、出向元企業(自身の在籍企業)との労働契約のほかに、出向先企業とも労働契約を結びます。出向元と出向先は企業間で出向契約が生じます。社員の給与は出向先企業が負担します(負担割合は出向契約によります)。

一方、派遣の場合は派遣元企業の社員として労働契約を結び、派遣先企業にて就労します。派遣元と派遣先の企業間には派遣契約が生じます。社員の給与は派遣元企業が負担します。

また、出向は出向先企業の就業規則が適用されるのに対し、派遣は派遣先企業の就業規則が適用されます。ですから、例えば同一企業に出向社員と派遣社員がいる場合、36協定による時間外労働などは、出向社員は出向先企業の36協定が適用され、派遣社員は派遣元企業の36協定が適用されるのです。

実態に沿った表現か確認を

出向か派遣かどちらが良いのか?という事ではなく、意味を理解したうえで正しく使用されているかという点が大事だと思います。

あらかじめ出向を前提とする求人の場合は求人票に記載されています。出向か派遣か明確でない、曖昧な内容でしたら求人企業やエージェントへ問い合わせてみましょう。