戦国時代に名を馳せた千利休は、ときの武将に絶大な信頼を得て、現代でも大切に引き継ぎたいおもてなしの達人でもあり、現代の茶道の礎を築いた人です。

利休は、茶道の教えを初心者でもわかりやすく覚える事ができるように、和歌の形にして残しました。茶の点て方や炭のくべ方、季節ごとの客人のもてなし方など全部で百首あり、「利休百首」とも呼ばれています。

その百首の最初の歌は茶の道への心構えなのですが、それがどんな道にも通ずる内容となっています。

『その道に入らんと思ふ心こそ わが身ながらの師匠なりけれ
ならひつつ見てこそ習へ 習はわずに善悪いふは愚かなりけり』
どんなことでもその道に入ろう(進もう)と思う志(気持ち)こそが自分自身の師匠である。学んでいく過程ではツラく大変な事もあるだろうし、やってみなければわからない事もある。それをやらずに、とやかく言うのは愚かなことだ。

うーん…利休師匠、さすがです! 深いです。

職場にもいませんか?何かを始めようとするとき、やり通すことを面倒臭がる人、やる前から「できない理由」を探す人、などなど。

良い結果でも悪い結果でも、やってみなければわからない事もあります。失敗しないと得られない事もあります。この歌は茶の道のみならず、社会や家族の一員として、技術者としてのキャリアアップにもつながる考えであると思います。

新しい事へのチャレンジにためらっている方がいたら、「わが身ながらの師匠」と向き合ってみてはいかがでしょう。それがキャリアに関することでしたら、是非一度、ご相談にいらしてください。