構造化面接とは?

ここのところ、採用面接で導入を検討している企業が増えてきているのが「構造化面接」という手法です。構造化面接とは、あらかじめ決めた質問事項、あらかじめ設定した評価基準に沿って実施し、合否を判定する面接手法のことを言います。

もともとは臨床心理学でのアプローチの一つでカウンセリングなどの場面で用いられていたものですが、Googleでも行われていることで注目され、企業の採用面接でも用いられるようになってきました。

採用において企業が構造化面接の導入を検討し始めた背景

求職者の母集団形成や新型コロナウィルスの感染拡大防止等により、オンライン面接を実施している企業は増加傾向にあります。ですがオンライン面接にはまだ不慣れな面接官も多く、これまでのように直接対面しての面接と比較して「候補者の人物像がつかみづらい」、「会話の意図が伝わりづらい」といった点があり、合否判定の見極めが難しいという課題感があります。

このような背景から、構造化面接という手法が検討され始めているのです。

構造化面接のメリット

面接官によるバラつきが解消できる

採用面接に携わる方も、その業務に対するキャリアやそれまでのバックグラウンドによって候補者へのアプローチ方法やコミュニケーション方法が異なります。とくに技術職の選考では、面接官によっては専門的な理解の度合いが異なるので評価が一定でないこともあります。

構造化面接は質問事項や評価基準があらかじめ設定されているため、面接官のスキルや経験による主観的評価のバラつきが抑えられ、客観的評価がプラスされることになります。これにより判定に差が出ることがなく、採用後のミスマッチを防ぐこともできます。

決定スピードが速まる

これまでの面接では、複数の面接官で評価が分かれた場合、合否を判定するために時間を要することもありました。構造化面接では評価のバラつきがなく判定の基準も明確なため、選考結果が早い段階で決定します。

面接対策がたてやすい

構造化面接はあらかじめ質問することが用意されていますので、その場の雰囲気で突飛な質問をされたりすることはまずありません。主な質問の内容としましては、職場環境や人数構成から、役割(担当したこと)、そこでの課題、成果や改善点など「これまでの経験の事実的な確認」です。質問が定型的なので、ご自身の職務経歴をわかりやすく端的に説明できるように準備することで面接対策ができます。

構造化面接のデメリット

面接の「手ごたえ」を得やすい

手ごたえがあることが何故デメリットに?と思われた方もいるかもしれません。手ごたえがあると「選考通過したのでは?」と勘違いしてしまいがちですが、「評価基準をクリアする回答かどうか」で合否が決まるので、聞かれた質問にすべて答えることができたとしても良い結果につながるとは言い切れません。

構造化面接は前述のとおり、事実経験にもとづく確認的な質問が主な内容であるため面接対策がたてやすく、質問にきっちりと答えることができ、回答に窮する場面はほぼありません。そのため面接実施後は「手ごたえがあった」と感じる方も多いようです。

ご自身のキャラクターを発揮しづらい

客観的に事実確認するような質問が多いため、まるで「聞かれたこと(だけに)答える」ような、ちょっと無機質な回答を用意する対策になりかねません。

そのため、「業務を進めていくうえで大事にしていること」や「どのような考えをもって問題解決にあたってきたのか」といったご自身の「仕事に対する思い」のようなものを汲まない対策内容になってしまったり、「仕事の話題以外のところで垣間見える」ご自身のキャラクターが発揮できないまま終わってしまったりということもあるかもしれません。

どんなところに気を付ければ良い?

採用の現場ではこの短期間で、これまでの面接手法とは異なる手法が次々と取り入れられるようになってきました。同様に、私たちも新たな対策をとっていかなくてはならないのかと不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、手法が変化しても採用の根本は変わらないと思います。「自社にフィットした人と一緒に働きたい、長く定着してもらいたい。」という思いにほかなりません。ですから、どのような面接手法であっても気を付けるべき点は同じであると思います。

質問のパターンを先読みして回答を考えない

「このような回答をすればウケが良いだろう」とか「評価される答えはきっとこういうことだろう」などと考えて準備しないことです。それがご自身の考えと一致しているのであれば問題ないのですが、一致していないのであれば「選考に合格するために用意した自分」で居続けなければならず、採用されても入社後につらい思いをすることになります。

また、選考の評価基準がいつまでも同じとは限りません。組織構成の変更や採用するタイミングなどにより評価基準は見直されるものです。ご自身の価値観や、転職して実現したいことを素直に伝えるよう準備しましょう。

経験業務の「状況」を振り返る

これまで経験されてきた業務について、「どんな状況だったか」を思い返してみましょう。その業務を担当したとき、「どのような経緯で担当したのか」「どんな課題があったのか」「そのとき起きた問題」「どんな考えがあって選択した解決方法なのか」などを振り返り、ご自身の「置かれていた状況や立場」、「仕事に向き合う姿勢」などを併せて伝えられるようにしましょう。

また、「再び同じ状況になったらどうしたいと考えているか」や「さらに困難な問題が起きたときはどうするか」など未来の状況についても想定し、答えることができるようにしておくと良いと思います。

職場での役割や問題解決へのアプローチなどを話すときには、ご自身の個性や考えを伝える工夫をすることも大事です。上司や同僚、客先からの評価、友人や家族関係などからよく言われることを思いおこして、話のなかに取り入れてみましょう。

ちょっと難しいテクニックかもしれませんが、聞かれなくても伝えたいことは差し込みながら話せるよう工夫できると良いと思います。弊社の面接対策では、そのような工夫もふくめてアドバイスさせていただいております。どうぞお気軽にご相談ください。