コロナ禍で色々な事が変わってきました。働き方のキーワードにも、テレワーク、オンライン面接、リモート会議など、遠隔の仕事の仕方の単語が日常茶飯事になっています。しかし、ものづくり業界では少々違う、と言われてきましたが、そういう中で最近お聞きした話を交えて、今回のテーマとしました。

ものづくり業界の遠隔業務に関して

他の業界に比べて、IT化が遅れているとか、出来ない部分が多いとか、言われているのがものづくり業界です。特に、中小以下の規模であったり、工場併設の一品ものを作るメーカー、部品メーカー、下請け企業などでは、更にその割合が増えてくるようです。

テレワークに関して

これは、実際に私が訪問している、中小以下の規模のものづくり企業の話です。テレワークをしている企業は少ないと感じます。していたとしても、緊急事態宣言中で週1〜2日とか。もちろん、ほぼ毎日が自宅でのテレワークという方もいますが、かなり珍しい場合です。原因はやはり、実際にものを作る環境にいる必要があるからでしょう。特に工場が併設している場合はすぐそばにいたいようです。それでも、システム化や自動化は進んでいて、テレワークが出来る環境自体は進んでいるとも感じます。故に、実際にテレワークにするか否かは、考え方や好き嫌いの部分もあるのかもしれませんね。

顧客対応に関して

営業的な部分を含めた、他企業との接し方に関しては、かなりオンラインでの打合せが増えたと思います。実際に私が今まで直接訪問していた企業も、オンラインでの対応に切り替わった企業が多くありました。こう考えても、システムや対応力は、ものづくり業界もしっかりと進んでいると思います。しかし、ここ数ヶ月で、また一気に対面での打合せが増えてきました。これもまた、考え方や好き嫌いの影響かもしれませんし、より深まったコミュニケーションが必要だと、ここ1年以上の経験で感じているのかもしれません。もちろん、どの企業様も、感染症対策は万全の状況で迎えてくださいますし、私自身もしっかりとした感染症対策をして伺っております。

海外へ向けた、新たな遠隔対応に関して

そんな中、先日ご訪問した企業で、新しい話を聞くことが出来ました。課題は、海外対応のお話しです。

過去〜現状の海外対応状況の話

その企業様は、生産設備メーカーです。海外の顧客・工場へも設備や装置を納入していますので、通常時であれば、技術者が設備・装置と一緒に現地へ行き、設置〜立上げ業務を行っています。しかし、コロナ禍の現在では、海外出張は非常に難しい状況です。行く国によるとは思いますが、最低限、現地入りしてからの2週間と帰国後の2週間は隔離状態(強制と自主があるようです)が必要になります。その為、海外出張をする技術者は、1ヶ月は待機状態になりますので、テレワークで出来る作業のみになります。もちろん、現地へ行くエンジニアは、製造職・サービスエンジニア、フィールドエンジニア、設計職の方が殆どですので、テレワークのみで出来る業務が少なく、会社としてもご本人としても待機期間がもどかしい状況になってしまいます。そしてもちろん感染リスクが上がります。

今回新たに取組んだ海外対応の話

そこで新たに取り組まれたのが、【オンライン立上げ】とでもいいましょうか、つまり今まで現地へ行き、設備・装置の設置〜立上げ業務を行っていた部分を、国内からの遠隔で、現地のエンジニアとコミュニケーションを取りながら、指示等を出し、確認しながら行うという事でした。この内容、既に他社さんでも取組んでいらっしゃると思いますし、理論的には以前からも可能な内容だと思います。しかし、今まで頑なにリアルな対応に拘っていた職人的な企業が、この【オンライン立上げ】に取組み始めた事に大きな意義があると思います。今後、安心して海外対応が出来るようになりますし、コストも大幅に削減出来るでしょう。そしてもちろん、国内対応にも活用すれば、技術者の働き方改革にも大きな意義があります。

コンサルタントからの独り言

現地対応が主になる、フィールドエンジニアやサービスエンジニアの仕事は、非常にやり甲斐のある職種ですし、必要とされる職種です。しかし、出張が多い事、休日対応が多い事、などの【働き方】が影響して、敬遠される事が増えています。実際に、転職相談にいらっしゃる方でも、『家族への配慮で長期出張が出来なくなった』、『やりたい仕事だけれども、働き方が嫌だ』というのは多い発言です。このままでは、現場で仕上げる技術者がそのうち居なくなってしまうのでは・・・と心配になる事も少なくありません。ですが、【オンライン立上げ】が当たり前になったら、この問題はかなり解決されると思うんですよね。個人的には凄く期待しています!!但し、出張が楽しみな技術者の方々には嬉しくない情報だと思いますが。。。